「銀の匙 Silver Spoon」荒川弘

2014年2月13日

「銀の匙 Silver Spoon」荒川弘 [wiki]
現在連載中。既刊10巻読了。今後も追いかけます。

「鋼の練金術師」で大成功した後、別の出版社で全く色の違う連載を開始。

雷句誠先生、佐藤秀峰先生の問題で、私の小学館のイメージはえらく落ちていた。
なのに何故そこへ行こうとするのか? それは次に描きたい漫画が少年サンデーの「雑誌の色」に一番合っていたからのようである。

移籍した途端、単行本は一冊あたり100万部、どこかで数字を見たがいきなり「小学館で一番単行本を売る作家」に躍り出た。(逆に言えば、他の作家はそんなに売れていないということ)

さて題材は「農業高校」である。作者自身の経験が生かされているという。これをパッと読んだ時、「前作よりヌルいなぁ……」と感じてしまうことは避け難い。アクションもなく、派手な大事件も何も起こらないのである。
しかし! 何故かこれがジワジワと来るのだ。面白いか面白くないかと言えば、間違いなく面白い。
ハガレンは全巻を「2周」読めば、あとはもういいかな、という感じがあった。そこがアクション主体の限界なのかもしれない。それに対しこの作品は、何周読んでもジワーっと楽しめる。でも何処にそんな魅力があるかというと、なかなか自己分析できない不思議さ。

とにかくこの作者には根本的な「漫画の力」があって、何でも面白く描けてしまうんだろうな、という観念的な結論しか出てこない。
(漫画の力=絵の巧さとか、ネームの緩急とか、キャラクター造形とか)

普通の中学校から急に農業高校へ進んだ主人公は、農業高校の特殊さに一つ一つ触れ、リアクションする。それはつまり「読者と同じ立場」であり、いちいち新鮮さを感じることができる。
そして、主人公の人生観が、ものすごくゆっくりとしたスピードではあるが変わってゆく。それが話の縦筋となっている。

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「鋼の錬金術師」荒川弘

2014年2月12日

「鋼の錬金術師」荒川弘 [wiki]
全27巻読了。

85%の王道(読み易い絵柄・格好良いアクション・絶妙な脇役キャラクター配置)
を貫く勇気と実力に、
15%のスパイス(錬金術・グロさ・巧みなプロット)
を見事調合した快作。

錬金術をメインの「ネタ」として据え、地面を拳の形に変えたりしてバトルする。主人公2人の行動の理由は術の失敗から始まるごく個人的なものだが、やがて広大な国に対しての錬金術に巻き込まれてゆく。
敵キャラの元ネタは「7つの大罪」。(某マンガより先)

1冊あたり200万部と、しっかり報われているが、
作者はONE PIECEに部数で届いていないことについて意識している。

1巻と最終巻でほとんど絵柄が変化していないのも凄い。漫画家として最初から完成度が高かったという事。

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