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Album「月は遠く」解説
 
CD「月は遠く」
 
(文:里園)

1. 雨の日のあした

♪2008年発表のシングル曲。
元々の曲は2004年にすでに出来ていました。
でも当時はこんなにぐにゃぐにゃした(?)歌い方はしてなかったんですが、いつからこうなったんだろうか。
♪「あした」がひらがな表記なところがこだわり。
♪内容は失恋当時だったのでそのまんまですねぇ・・・。
なんで別れるのに出会ったんだろう?喪うのに求めたのだろう?といつも思っていました。
でもそんな雨が降ったとき、そのときはつらくても「あした」は必ずきて、その雨が大地をうるおしたり虹をかけたり次への一歩に必ずなるのだ。というような歌です。
雨の日を思うより雨の日の「あした」を歌いたかったのです。

2. 鴉

♪未発表新曲。最初に形になったのは2009年11月。
落ち込んでるとき私が考えてるのはだいたいこんなことです。
「冷たい目だ」とは実際に言われたことがあります。我ながら人を見下すようなあの顔はほんとにヒドいと思ってます。すいません気をつけます。
この曲はサビから出来ましたが、イントロ、アウトロの「ら、いや、いや、いや〜♪」もはじめからメロディとして浮かんでいました。
その2つが浮かんだときには、異国風の香りがして、とてもまともなポップスにはなりえないだろうといったんお蔵入りにしたのですが、なんとか形になってよかったです。
♪兄が鴉の鳴き声を入れようと、早朝に録音してきたのですがボツになったという裏話があり。

3. 月は遠く

♪未発表新曲。最初に形になったのは2009年11月。
♪ちょうど、2009年10月〜11月あたりが音楽を再びはじめようと決意した頃だったので、創作意欲が沸きまくっておりすごく活動していました。
まさにそのきっかけというか、歌をうたっていこうと決めた時の気持ちを込め、じっくり作りこんだ歌詞なので思い入れは一番あります。
♪もともと星や月なんかは好きなモチーフですし(過去に「満月夜(みづきよ)」という曲もあり)、できれば奇麗な月の写真をジャケにしたかったですが・・・。ま、まぁ、あのシンプルなジャケットもあれはあれで味があるかなって!
♪しごと帰りにチャリに乗りながら月を見上げていてサビが浮かびました。そして即「なんって歌いづらいメロディなんだ!!」と思いました。
♪これもイントロ、アウトロのジブリのようなメロディーはサビと同時に浮かんできました。

4. Rainman

♪未発表新曲。最初に形になったのは2009年11月。
ひとつのアルバムにするにはお遊びな曲があるとひと呼吸おけて良いので、お遊びな気分で作りました。ギターでA、G、Dをつま弾いていたら出来ちゃった感じです。
♪歌詞は、前からこういう架空の物語っぽいものが書きたくて。
もし雨の日にしか会えない人がいれば、雨の日を楽しみに出来るかなぁと思いました。
なぜ雨の日にしか会えないかというと、単にこの世にはいわゆる「雨男」「雨女」がいるので、必然的に会う日はいつも雨だった・・・というだけだったり。そして直訳してのレインマン。
♪イントロの口笛は兄。ほんとうは間奏も口笛の予定でしたが、うまく録れなかったそうです。ぜひ皆さんが聞きながら口笛を吹いて頂ければより雰囲気が出ますか?

5. 母

♪未発表新曲。最初に形になったのは2009年11月。
私の記憶では詞先(出来上がっている歌詞にメロディをつけてゆく)だったと思いますが・・・?
♪11月、祖母が入院手術の際に1泊2日で帰省しました。そして祖母に会ったとき「しわしわの手でなぁ」と言ってたんです。でもその手は長い人生を生き抜いてきて、しわの数だけ経験や思い出がつまっているんだから、恥ずかしくも何ともないしむしろ誇っていいことだよ、と思って書いた詩です。
自分にとっての親だったり、祖父母だったり、親戚でも近所のおばちゃんでも老人ホームの他人でもそうなんだけど年を重ねてゆけばゆくほど、しわくちゃの笑顔で笑ってしわくちゃの手で「生きてる」姿ってそれだけでとても眩しくて、強く感じるんです。
タイトルは「母」だけど、自分にとっての母や、母にとってのそのまた母や、自分自身が母という存在であるという人、誰にとってもその人生を振り返ったときに、たとえ本人が後悔だらけに思っていたとしても、子らに見せてきた背中や生き方はとても強く、かけがえがなく、誇れるものだと思います。

6. 夕陽色のギター

♪2008年発表のシングル曲。これももともと2004年には出来ていました。
我ながらイントロからAメロに入るところは違和感があるんですが、成る程これもサビから出来た曲でAメロは後付けなわけなんですねー。
♪イメージはサンバーストのギターを見てて、赤茶〜黒のグラデーションが夕陽みたいだなって思っていて。シングルのジャケット写真にしましたが、夕陽にギターが透けている雰囲気が気に入ってます。
♪単純にこれは愛用していたギターとの思い出を歌った曲なのですが、もちろんそこに誰かの存在をあてはめてみてもいいのです。
♪ラテンなリズムが大好きです!これに初めてアレンジが加わって聞かされたとき、ギターと歌だけのものより数倍も良くなってて感動しました。単純にこういうのが好みです。
♪イントロ、アウトロのギターのメロディは兄が弾いてます。

7. 爪跡

♪未発表新曲。最初に形になったのは2009年12月。
以前のアルバムで言う「天国」っぽいなーと思います。このけだるさが。
これは絶対ささやき声で歌いたいと思ってました。
♪作曲時には、ふだん使わないコードを使ってみよう!というテーマをもちました。
なにしろふだんコードが3つぐらいしか出てこない超簡単な曲ばかりだったので。
おかげさまでほんの少しはひねられたかなと・・・。
♪もともとシンプル万歳と思ってたし、Bメロのストリングスがお気に入り。
♪歌詞は、夜中から夜更け、朝方と、1人部屋で悶々と考え込んでいるイメージ。
嫌で仕方がなくたって明日は来てしまうんだよという無情な救いようのない歌です。笑←笑うとこか?
♪ふつうなら「爪痕」なんですが「爪跡」なのがこだわりです!なんとなく受ける感じ違いませんか?

8. HOME again

♪2009年発表のシングル曲。
これも寝かせた期間はなかなかあったかな。書いたのは2007年か2008年か。
これもけっこう練りました。これは覚えてます、詞先です。
歌詞を書いた当初、自分にとってすっごく特別で、特別すぎて、ぜっっったいに感動的な素晴らしい曲にしたかったので、何度か自分で作曲にチャレンジしました。が、全然だめで・・・。兄に自分のイメージを伝えてみたら、ばっちりな仕上がりでやって来ました。当初ついていたBメロを私が却下して兄に書き直してもらったりはしましたが、おかげでしっくりきました。
♪とにかく英語に苦労した思い出の曲。英語がわからない日本人、なのにサビの1行目に英語でも日本語でもはまる言葉がないんです!さぁ困った。最初に書いていた歌詞の英語は文法的に間違っていたので使えない。どうしよう。2人で辞書引きまくって考えに考えました。サビ最後の2行の英語も考えまくりました。これをこっちにもってくか?ここにいれるか?どうしようか?と。
♪「白いハコ」というのは箱庭のイメージからでした。箱庭療法の。
四方を真っ白な壁で囲まれてて、出口もわからないしどこにも行けない、閉塞されたイメージ。
実家にいる頃の私はまさに「生温い愛情にくるまれて」、「白いハコの中で夢を描いてた」のです。
♪家を出てからも毎年、親のバンドが主催のコンサートには出ていました。その中で、父がソロで「ききょう」という歌を歌いました。我ら家族が一番好きな花桔梗と、帰郷がかかってます。家を出た私への親からのメッセージソングでした。舞台袖で私と母は号泣しました。(えっ?母まで?)
そのアンサーソングとしてこの歌は出来ました。20歳で家を出て、24歳でこの歌を初めてコンサートで親の前で歌いました。
父母を泣かせるために本番まで隠しておいてね!もちろん結果は・・・フフフ。
♪ほんとにふるさとの良さっていうものは離れてしみじみとわかるものです。
秋田が嫌で出たのにこんなに秋田を想うことになろうとはね。今は堂々と秋田ラブ!

9. Time to go

♪未発表新曲。最初に形になったのは2009年12月。
♪作ってる当初から、これはアルバムの最後だなーと想ってました。
♪低音な曲を作りたくってこうなりました。おかげでライブ向きではないです。
♪そしてゴリゴリロックにしたかった。でも「花」とかぶっちゃうって悪戦苦闘。(兄が)
♪「Time to go」という単語は突然降ってきました。厳密には歌詞の内容とこの言葉の意味はちょっとズレてるんですが、そのまま使いましたー!!
♪この歌詞は練るもなにもなく、1番だけできてた状態で自分で録音するときに「あぁ2番の歌詞がない〜」ってその場でさ〜っと書いたのがそのまま使われてます。そんな簡単でいいんですか。
♪歌詞としてはもうただ大サビの部分が言いたかっただけなんです。
時間は黙ってても何をしててもしなくても平等に流れ去っていってしまうもの。
でも一番キレイだった瞬間だけを切り取ってとっておけたらなーという去りがたい執着、未練。
とにかくそこから走り出そうと。

ex. Believe

♪2009年発表のシングル曲。あくまでオマケ扱いとなってます。
里園というには方向性が違いすぎるというか・・・、完全に兄の趣味でやったものなので。
♪総じて思ったことなのですが私が自分で作った歌は、とても歌いづらいメロディが多いです。が、この曲はびっくりするぐらい歌いやすかったです。そういうのにも才能とか出るんでしょうか・・・?
しかも私の声質に妙に合っているような。
♪兄が作曲の場合、詞先が近頃は多かったですが、この曲は曲先で兄から聞かされました。
びっくりするぐらい何も浮かばない時期で非常に困りました。
実体験を多いに脚色して四苦八苦してひねり出しました。というわけで歌詞については最も思い入れのない1曲・・・。兄作のラップのほうがひねりがあって面白くないですか?(作詞者の言う台詞じゃないな・・・)



 


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