山下達郎「あまく危険な香り」


山下達郎「あまく危険な香り」

1982年、シングルで発表。TBS系ドラマに使用されたらしい。
レーベル移籍時期のハザマにリリースした関係で、当時オリジナルアルバムには収録する機会がなかった。現在は「For You」リマスター版のボーナストラックもしくはベスト盤系で聴ける。

複雑なコード進行を持つため、市販の楽譜やネットの情報は他の曲以上に信用ならない。特に自分の耳で確かめておきたかった曲。

Curtis Mayfield「TRIPPING OUT」(1980年リリース)とアレンジがそっくりだと発見されたが、達郎氏本人はまったくの偶然であるとコメントしている。

まずイントロの進行が興味深い。明らかにノンダイアトニックな組み合わせのE△7とC△7を繰り返す。これはKey of Eで始まり、モーダルインターチェンジでKey of Gに一時転調したIV度としてのC△7と解釈すべきなのだろう。

その後Em7/Aへ移行するが、これはほぼAm11の役割を果たしているので、Key of Gをそのまま続けたII度マイナーということでいいだろう。
そして歌のアタマはトニックGのmaj7で始まる。

ハーフディミニッシュF♯m7-5からマイナーのドミナントB7へ進行するのはジャズでよくある手。その後Aへ行くのはセカンダリードミナント(Key of D)と、一時転調をクルクルと繰り出している。

Bメロに入ると今度は4度転調してKey of Cのツーファイブ(の代理)、すぐKey of Gに戻ってきたかと思えばイントロで伏線を張っていたKey of Eへ。

そして次のメロディ(短いサビ?)はKey of GのIIIm→IImという終止感の少ない不安定な進行の上で展開される。

一般のわかりやすい曲は4小節区切りで展開するが、この曲は6小節だったり5小節だったりと半端な構成である。それでも不自然には感じない。

そのように色々なワザを駆使して作られた曲は、『大人の味』が出たものとなった。

レコーディングバージョンはフェイドアウトだが、LIVEアルバム「JOY」に収録されているものはSAXソロののち、ちゃんとエンディングをつけている。ラスト手前のB/G♯はいわゆる「裏コード」(D7に対するG♯7)に近い(B/G♯は合体するとG♯m7になる)発想と思われる。

[X=4拍]
Original Key:A♭/Sheet:G/Hi:g

【I】
E△7 C△9 E△7 C△9 | E△7 C△9 Em7/A D4a9→D(13)

【A】
G△7 F♯Φ→B7-9 Bm7/E→Em7
A74→A7 C△7/D→D7(13)

G△7 F♯Φ→B7-9 Em7(9 11)
A74→A7 C△7/D→D7(13) G△7(9)

【B】
Dm9→F△7/G C△9 F♯Φ→D7/B | E△7 C△9 E△7 C△9

【C】
Bm7 Am7 Bm7 Am7 Am7/D→D

【A】
G△7 F♯Φ→B7-9 Bm7/E→Em7
A74→A7 Am7/D Am7/D

【K】
G△7 BΦ→B7-9 Bm7/E→Em7 A74→A7 C△7/D→D7(13) G△7(9)

【B】
Dm9→F△7/G C△9 F♯Φ→D7/B | E△7 C△9 E△7 C△9

【C】
Bm7 Am7 Bm7 Am7 Am7/D→D

【A】
G△7 F♯Φ→B7-9 Bm7/E→Em7
A74→A7 C△7/D B47

【O】
E△7 C△9 E△7 C△9 (繰り返し)

→Am7… D7… B/G♯… | G△9

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